NHKは24日、情報配信サイト「LH MAGAZINE」の編集長に対し、損害賠償と謝罪広告の掲載を求める民事訴訟をこの日、東京地方裁判所に提起したと発表した。

昨年7月に発生した京都アニメーション放火事件に関し、事件後、NHKとNHK職員に関する事実と全く異なる投稿を多数引用して拡散したという。中にはニュースの映像を加工して虚偽のコメントを付けていた悪質なものもあるという。

加工されたニュースは、事件発生の翌日の昨年7月19日の夕方、関西地方で放送されたNHKのニュース番組。警察官が現場近くの公園で容疑者の遺留品とみられるものを回収する映像が放送された。私服の警察官だったが、字幕で警察官と明確に分かるような形になっていた。だが、サイトでは同映像を静止画にし、文言として「警察より早く事件の犯人の遺留品を回収するNHK取材クルー」という虚偽のタイトルが付けられていたという。画像の警察官の顔は塗りつぶされ、あたかもNHKの職員かのように誤解を招く形という。

NHKは「報道機関としてのNHKの信頼が著しく傷つけられた。NHKの社会的評価を低下させている」としている。

NHKは今年1月10日に同編集長に内容証明を送り、損害賠償と謝罪を求めたが、損害賠償に応じるとの回答がなく、真摯(しんし)な謝罪もなかったことから東京地裁に提訴したと説明した。

NHKは「インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷による被害が深刻化する中でNHKは事実を伝える報道機関の1つとして引き続き放送を通してこうした問題に対峙(たいじ)していくと同時に、悪質な虚偽の情報発信に対しては法的措置も含め、毅然(きぜん)とした対応をする」とコメントした。損害賠償請求額は弁護士費用を含めて700万円という。