宝塚歌劇団は17日、東京オリンピック(五輪)聖火ランナーに決まっている雪組トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)が、相手娘役の真彩希帆(まあや・きほ)とともに、10月11日付で同時退団することを発表した。望海は18日午前に大阪市内で、真彩も同日午後、兵庫県宝塚市内で退団会見を行う。

トップとトップ娘役が同日に退団を発表するのは、前雪組トップ早霧せいな・咲妃みゆ、前星組トップ紅ゆずる・綺咲愛里の例がある。「ちぎみゆ」「紅あいり」に続き、劇団屈指の歌唱力を誇る「望」海風斗と真彩「希」帆の“希望コンビ”も同時に退団を発表し、添い遂げて退く。

望海は03年入団。前花組トップ明日海りおらと同期。花組に配属され、09年「太王四神記」で新人公演、12年に「Victrian Jazz」で宝塚バウホール初主演。14年、雪組に組替え。前トップ早霧と咲妃のコンビを2番手として支えつつ、存在感も発揮。それぞれの個性が光る舞台姿は「雪組のトリデンテ(スペイン語で三またのやり)」と称された。

17年に早霧からバトンを受け、雪組トップ就任。相手娘役に真彩を迎えた。

3拍子そろったスターとして、ファンを魅了する望海は、自身も入団前から熱心な宝塚ファンで、元月組トップの天海祐希へ語り掛けるように日記を書いていたこともあったほど。宝塚を愛する心に加え、劇団最古の花組育ちから、王道の男役像を求め続け、専科で理事の轟悠に「宝塚の伝統的な男役像を継承している人」と言わしめた。

高い歌唱力にも定評があり、海外作曲家による難曲も歌いこなしてきた。真彩とのコンビで実力を存分に発揮した「ファントム」は、代表作の1つになった。圧巻の歌と、役の心の機微を繊細な演技で表現。「希望コンビ」真骨頂の作品となった。

トップ就任前の16年には、俳優井上芳雄のコンサートに外部出演。今年4、5月には、東京と神戸で、世界的なミュージカルスター、ラミン・カリムルー氏をゲストに迎えたコンサート「NOW! ZOOM ME!!」を予定している。

真彩は12年入団。月組の組回りを経て13年に花組配属。14年に星組、16年「鈴蘭」でバウ初ヒロイン。17年に雪組へ移り、同年に望海の相手娘役に迎えられた。身長は164センチ。宝塚音楽学校は男役志望で初受験し、不合格。翌年、娘役を志して合格。若くして5組全組に出演した異色の経験を持ち歌、ダンス、芝居とも高レベルな技術が武器に、望海に寄り添ってきた。

2月3日に、宝塚千秋楽を迎えた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」では、望海ともども、少年期から青年期、初老期と全世代を演じており、21日からは東京宝塚劇場公演の開幕を控えている。

望海は今夏、東京五輪の聖火リレーで神奈川県内の走者の1人に決定。「横浜市で生まれ育った誇りを胸に聖火ランナーとして走りたいと思っています」と、大役への思いをコメントしていた。

サヨナラ公演は、「ミュージカル・シンフォニア『fff -フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~」「レビュー・アラベスク『シルクロード~盗賊と宝石~』」。兵庫・宝塚大劇場は7月17日~8月17日、東京宝塚劇場は9月4日~10月11日で上演。コンビは、東京公演千秋楽をもって退団する。