舞台でクラスターが発生した。6月30日から7月5日まで、東京・新宿のシアターモリエールで上演された「THE★JINRO」の出演者、スタッフ、そして観客の計20人以上が新型コロナに感染していることが明らかになった。

6月下旬から舞台が再開し始めたが、舞台は「3密」が避けられないこともあって、再開にあたって厳密なガイドラインを設定した。出演者同士は過度に近寄らず、客席も前後左右を空けて定員の半分以下に抑え、観客もマスク着用を義務付けし、入場の際には検温を徹底した。そういう中で、早々に演劇関係者が恐れていたクラスターの発生となった。

しかし、いろいろ聞いてみると、この舞台、通常の演劇公演とは違う内容だったようだ。副題に「イケメン人狼アイドルは誰だ!!」とあるように、陽性が判明した山本裕典がリーダー役を演じるアイドルグループのスペシャルライブという設定で、歌や踊りがメインで、はんにゃ金田哲らが日替わりのゲストで登場した。会場のシアターモリエールは定員200席ほどの小劇場で、観客は半分の100人程度に抑えていたものの、出演者は約20人で、そこに日替わりゲストが加わった。舞台上は密状態で、楽屋も狭かった。クラスターが起こる「危険性」はいっぱいあった。

現在、演劇界は徐々に舞台を再開しているけれど、新型コロナ対策のためにさまざまな工夫をしているし、出演者が多く舞台上が密になる可能性がある場合はあえて「中止」を選択したところも多い。これは4カ月近い「自粛」を経験し、舞台でのクラスター発生で、再び「自粛」という事態にならないためでもある。今回の舞台を制作した会社は、韓流男性アーティストやアイドルグループを中心にプロデュースし、いろいろなイベントを行い、8月にも舞台イベントを予定している。ショー的な舞台で、通常の演劇公演とは異なるとはいっても、「舞台でクラスター発生」という事実だけは残る。多くの演劇関係者から見れば、迷惑でしかないだろう。