先月、9人組ガールズグループNiziUをインタビューした。老若男女問わず、幅広い世代から支持を得ており、多くの若者はその姿に憧れを抱いている。彼女たちに近づくにはどうすればいいのか-。

その質問に、リーダーのMAKO(19)は、1つ1つ小さな目標を達成する事と回答。その答えは、筆者が高校時代、あるオリンピック銅メダリストからいただいた助言と似ていた。

MAKOは、グループ1の努力家として知られている。自分で決めたことは最後までやり抜く性格だといい、オンライン動画配信サービス「Hulu」の「We NiziU!~We need U!~」では、韓国で生活していた約3年間、毎日欠かさず日記を書いていたことなどが放送され、継続を大切にしていることが伺えた。

そんなMAKOは「NiziUになるにはどうすればいいか」と問われ、「小さな目標を立てていくことがまず大事だなって思うんですけど、で、その夢をずっと諦めないで欲しいです。なんか『今日はこれを頑張る!』とか、本当に小さな日常のことでもいいので、何かしら、そうやって目標を達成できたら、いずれ、大きな目標を達成できると思います」と答えた。

韓国でオーディションに参加している時は、毎日、自分の「To Do List」ノートに“やるべき事”を記入していた。そのノートは、今では50冊を超えているというから驚きだ。毎日、自分のやるべき事を明確にし、それを1つずつ達成し、デビューという夢を勝ち取った。

グループとして、今後の目標を問われると「ドームツアー」や「47都道府県ツアー」と、目を輝かせながら答えてくれるメンバーがいる中、MAKOは「いろんな私たちの姿をお見せしたいなって思います」とだけ、最後に冷静に答えた。

その前に、夢を問われた際は「まずは、私たちのライブ、コンサートをすることが目標で、早くWithU(NiziUファンの通称)の皆さんの前でパフォーマンスしたいです。まずは日本スタートで、その後に、海外でグローバルにできたらいいなと思います」と“目の前にある目標”から答えた。

これは推測だが、もちろんMAKOの心の中にも、他のメンバーと同じように、ドームツアーなどの夢はあるだろう。しかし、その前にやるべき事があると考えているのではないか。今後のグループの大きな夢に向けた“To Do”を、すでに頭の中で、描いているのではないかと感じた。

若者が夢を語ると、よく大人たちから「その夢を言い続けなさい」と言われる。いきなり大きな夢を目掛け努力するよりも、小さい具体的な目標を達成し続けた方が、最終的には、遠くの地点に到達できるとも言われている。

筆者が競泳選手時代、元競泳選手で、ロンドンオリンピック銅メダリストの加藤ゆかさん(34)に「目の前にある、小さな目標を達成し続けることが大切。そしていつか、目標と、遠い場所にあったはずの夢が、重なる瞬間が来るから」と、助言をいただいたことを鮮明に覚えている。

MAKOの話を聞いた時、もしかしたら、似たような考えを持っているのではと驚いた。

バラエティー番組などでは、誰よりも率先して体を張り、笑いを取りに行く。インタビューでは、リーダーの自分が答えるべきと感じた質問に、しっかり答えていた印象だった。それ以外では、他のメンバーの答えに優しくうなずき、場の雰囲気を和ませていた。

これまでメンバーが体調不良で、番組などを欠席することもあったが、いつも代表してあいさつをする際「今日は●●の分まで、頑張ります」と、19歳のリーダーはブレなかった。

初出場となった、NHK紅白歌合戦のイントロ時、MAYUKA(17)が、マイクトラブルで不在というハプニングがあったが、結果的にはMAYUKAの努力もあり、トラブルがあったとは気付かないほど、圧巻のパフォーマンスを9人で披露した。

日々、やるべき事を明確にしていれば、想定していない最悪の事態が起こっても、何をしなければいけないのか、瞬時に理解し、臨機応変に対応できる。1人1人の長所が、いつの間にかグループ全体に浸透していた。

オンラインという形ではあるが、やりたいことに挙げていた「WithUに会いたい!」という目標を達成した9人。次なる“Step”は-。【佐藤勝亮】