トランプ米大統領支持者が好んで利用していることで知られる右派に人気のSNS「パーラー」が、ペンス副大統領の処刑を呼びかけたトランプ支持者で弁護士のリン・ウッド氏の投稿を削除したことが明らかになった。「表現の自由」を売りにしてきたパーラーを巡っては、6日に起きた議事堂襲撃事件を受けて、アップルとアマゾンが暴力的なコンテンツに対する制限の取り組み強化を理由にストアやウェブサービスから削除することを発表している。

CNNなど複数のメディアによると、米極右が提唱する陰謀論「Qアノン」の熱狂的支持者であるウッド氏は、議事堂襲撃前に「銃殺隊を招集しろ。最初(の標的)はペンスだ」とパーラーに投稿し、ペンス副大統領の銃殺を呼びかけていたという。現場で取材していたロイターのカメラマンも、議事堂内で少なくとも3人のトランプ支持者が「ペンスを見つけて裏切り者として議事堂の木に吊るして絞首刑にするぞ」と叫んでいるのを聞いたと証言しており、一部の暴徒が実際にペンス副大統領を標的にしていたことも明らかになっている。プラスチック製のジップタイ手錠を手にした暴徒も確認されており、議事堂内にいたペンス副大統領らを拘束するか人質を取るために使用しようとしていた可能性があるとして当局が捜査を始めたと伝えられている。

過激な書き込みをしていたウッド氏は議事堂襲撃事件を受けてツイッターのアカウントを永久凍結されているが、パーラーのジョン・メッツCEOは、規約に違反したとしてウッド氏のいくつかの投稿を削除したことを認めているものの、アカウントの利用は停止されていないという。ウッド氏はCNNの取材に対し、「ペンスが反逆行為に関与しているという信頼できる証拠がある。私の情報が正しければ、法執行機関はペンスを罰するでしょう」と反論している。

トランプ大統領はペンス副大統領が選挙結果を覆すことができると事実とは異なる主張を繰り返し、「米国と米国憲法を守るためにすべきことを行う勇気がなかった」などとバイデン氏の勝利を確定することを阻止せずに自身に反旗を翻したペンス氏を批判していた。トランプ大統領の発言を受けて、「マイク・ペンスの処刑」という言葉が一時SNSでにぎわっていた。20日に予定されているバイデン次期大統領の就任式の当日並びにそれ以前の17日に、再びトランプ支持者たちが首都で新たな暴動を計画していると複数のメディアが伝えており、警戒が強まっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)