テニスの全仏オープンを棄権することを発表した女子テニス世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)を「傲慢で甘やかされた子ども」と攻撃した英国の情報番組「グッドモーニング・ブリテン」を降板したテレビ司会者ピアース・モーガン氏が、世間から大きな批判を受けている。

「出場辞退はテニスメディアに対する攻撃だ」と批判的なコメントをSNSに投稿していたモーガン氏は、「世界のスポーツ界で最も怒りっぽい小さなマダム、大坂なおみについてコラムを執筆した」とツイート。その後、英デイリー・メール紙の電子版に「名声と富が彼女のエゴを巨大なサイズに膨らませたようにみえる」「ナルシスト」と批判的な記事を掲載した。

コラムではうつに悩まされていると告白した大坂に対し、「ボイコットを正当化するために、メンタルヘルスを武器にしている。本当に意味するのは、うまくプレーできなければメディアに顔を向けたくないということ。なぜならいまいましい記者からパフォーマンスを批判されるかもしれないから」と持論を展開。スポーツ界のみならず多くの著名人も「勇気ある決断」と大坂への支持を表明する中で繰り広げた内容に、批判が相次いでいる。

モーガン氏は英王室を離脱したヘンリー王子の妻メーガン妃に対しても同様に「甘やかされたわがまま女性」との主張を繰り返し、「自殺を考えた」とメンタルヘルス問題を告白した際も番組の中で「うそ」呼ばわりして途中降板する騒動に発展していた。それだけに、英国内の世論では「非白人の女性をどれだけ攻撃すれば気が済むの」と人種差別的な態度への抗議も出ている。

また、メンタルヘルス問題を抱える人を一方的に批判する姿勢は多くの読者に不快感を与え、「心の問題を抱える人への尊重がないことが残念」と非難されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)