脳科学者の茂木健一郎氏(58)が、東京オリンピック(五輪)の無観客開催について「愚かであり、今からでも撤回して観客を入れて開催すべきだ」と私見を述べた。

茂木氏は12日、ブログを更新。「東京オリンピックの無観客開催の政策決定は愚かであり、今からでも撤回して観客を入れて開催すべきだ」とし、「人間の脳は、現場で実際に目の前のアスリートを見た時にだけ受け止める実感があり、それが今回のオリンピックのレガシーになる。実際に会場で見る人の数は有限でも、その方々が自分の体験を語り継ぐことで受け継がれていくのだ」と持論を展開した。

続けて「感染予防は大切だが、そもそも、オリンピックに伴う人流が定量的にどれくらい関与するのか明確ではない」と指摘。「ワクチン接種や検査、医療体制の充実、などについてのcontingency planこそに取り組むべきであり、不十分だと最初からわかっているデータや解析で人々の『行動変容』ばかりを精神論のように強調してきた『専門家』の先生方の意義は『F』(落第)」と切り捨て、「その専門家の意見にある程度影響を受けたかたちで、また堀江貴文の言う『ノイジーマイナリティー』の圧力で『無観客』とした政策決定は不適切としか言いようがない」とした。

また、プロ野球など有観客での開催例を挙げ、「社会の中で現に行われているさまざまな活動の中で、なぜ、東京オリンピック関連のことだけ目の敵にして『無観客』を主張するのか。そこには定量的な解析は存在せず(最初からそんなものは不可能だから)、単なる印象論、情緒論しかない」と茂木氏。「オリンピックの運営については、『専門家』の意見を含むありとあらゆる立場からの総合的な判断が必要であり、今回の無観客の決定は、著しくバランスを欠いた、『専門家』とノイジーマイナリティにのっとられた愚かな判断だと言わざるを得ない」とし、「バランスの欠いた印象論による愚かな判断は、せっかく得られたはずの『レガシー』を自ら失い、将来にわたって禍根をのこすことになるだろう」と警鐘を鳴らした。