自らを「ミスター・アンチ・ワクチン(ミスター反ワクチン)」と称し、新型コロナウイルスのワクチン接種に反対を訴えていたフロリダ州のラジオ局WNDBの司会者マーク・ベルニエさんが、先月28日に新型コロナの合併症で亡くなったことが明らかになった。65歳だった。

米CBSテレビによると、同氏はコロナに感染して先月7日から入院していたという。同氏は新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックは「詐欺的流行」だと主張するなど、当初からコロナに懐疑的な立場を示していた。

WNDBは、「30年以上にわたってリスナーに情報を提供し、楽しませてきたマーク・ベルニエ氏の死去を発表することは非常に悲しいことです」と声明を発表し、家族のプライバシーの尊重を求めている。

ワクチン接種率が低いフロリダ州では感染者の急増で医療崩壊の危機に直面しており、感染後にワクチンを接種していなかったことを後悔する患者が後を絶たないと伝えられている。

米国では感染力が強い変異種デルタ株が猛威を振るう中、ベルニエさん以外にも反ワクチン派の保守系ラジオ司会者が相次いでコロナに感染して亡くなっている。先月15日にはテネシー州のラジオ局の81歳のラジオ司会者が入院から8日目で亡くなっているほか、22日にも61歳の司会者がコロナに感染して命を落としている。

3人はいずれも番組でワクチンを批判しており、リスナーに反ワクチン情報を提供していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)