作家で医師の知念実希人氏が、第165回芥川賞を受賞した李琴峰(り・ことみ)氏に対する差別的な発言を謝罪した。

問題となったのは知念氏の8日のツイート。李氏が7日、旧民主党政権が約3年間で終わったことに触れ、「何かを変えるには、3年は短すぎる。しかも、311という未曾有の天災も起きた。アメリカの大統領や台湾の総統は任期が4年。そして政権交代が頻繁に起こる。現状に不満を覚える人は、まず思い切り野党に任せてみてはどうか。任せてみて、だめなら批判してまた交代すればいい。それが民主主義国家だ」とツイートしたのに対し、知念氏は「いや、マジでなんで外国籍の作家さんがここまで露骨に日本で政治活動しているのか、私には意味が分からない。この方の芥川賞授賞式の発言やツイートからは、安倍前首相や自民党に対するヘイトが迸りすぎていて怖い」などと発言していた。

李氏は「私のTwitterでの発言を『露骨』な『政治活動』と表現し、更には『外国籍の作家』と強調しています。これは『外国籍の人は(たとえ日本で生活していても)日本の政治について発言するな』という、明らかな国籍差別です」と抗議。本人にダイレクトメールで抗議文を送ったことも報告した。

知念氏はその後、自身のツイッターで「『外国籍の方の政治活動は禁止されている』という私の思い込みで発言してしまいました。調べたところ政治資金等の制限があるだけで、そのような事実はございませんでした」と経緯を説明し、「謝罪し、撤回いたします。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪。「40年以上生きてきて、このような差別的な発言が許されないということをとっさに判断することもできなかったことは、私の人間性の問題であり、誠に申し訳なく思っております。今後はこの心の奥深くに根付いた誤った価値観を、何とか矯正していかなくては決意しております」と、その後も謝罪と反省を繰り返した。

また、李氏は9日、知念氏から直接謝罪を受けたことを報告し、「これにて、知念さんと和解ができ、本件は解決済みとなったと認識しております。本件に関しては多くの方々に関心を持っていただきましたこと、大変感謝しております。お騒がせ致しました」とした。