歌手高橋真梨子(72)が、「生涯最後」と位置づける全国ツアー「our Days-Last date-」を来年1月27日の東京・立川公演からスタートさせることが15日、分かった。当初は昨年6月からの予定だったがコロナ禍で延期に。約1年半の時をへて渾身(こんしん)の42公演を開催する。

自粛期間中の高橋は、ツアーに向けての準備を着々と進めてきた。免疫力を高めようと栄養価の高い食事を心がけ、体力づくりのために自宅でのストレッチを欠かさず、散歩やゴルフの打ちっ放しで汗を流した。

圧倒的なボーカル力は健在ながら、ここ数年は「年齢的に体力に自信がない」「納得するステージを毎回継続していくことが厳しくなっている」などと口にすることがあった。だが今は「少し体力が付いたように思います」と自信を見せる。新型コロナのワクチンを2回接種し、ファンに安心して公演に来てもらえるように、会場の感染対策を徹底するという。

ペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとして73年に「ジョニィへの伝言」でデビュー。78年に「あなたの空を翔びたい」でソロデビューをした翌年から全国ツアーを19年まで41年連続で実施してきた。2000人以上収容の大規模ホールで、年間25公演以上を41年も継続している女性ソロ歌手は高橋のみ。昭和、平成、令和の3つの時代をトップアーティストとして走り続け、歌手50年の節目を迎える来年に1つの区切りをつけることになる。

今回、ツアーは延期されたが、中止をする考えは高橋の脳裏には全くなかった。「このまま立ち止まることは私の本意ではありません。コンサートを楽しみにしてくださっているファンの皆さまのためにもステージに立ちたいと願っておりました」と強い決意を示し、「力の限り歌いたいと思います」と宣言した。

夫で音楽プロデューサーを務めるヘンリー広瀬氏(77)は、公演内容について「コンサートの原点に立ち返り、過度な演出を止め、ペドロ&カプリシャスの作品やリクエストが多い作品などを中心にできるだけ多くの楽曲をお届けしたい」と説明する。そして、高橋の今後について「全国コンサートツアーは今回で最後になりますが、この先、またステージに立つこともあると思うので、決して引退ではありません。高橋真梨子の歌に終わりはないので…」と、ツアー以外の音楽活動は継続する意向を明かした。

高橋とヘンリー氏は93年に結婚。来年でちょうど結婚30年を迎える。歌手50年と結婚30年。公私にわたって節目を迎えるベストパートナーの二人三脚はこれからも続く。

★高橋すごいメモ

▼日本人唯一 「音楽の殿堂」と呼ばれる米カーネギーの大ホールで、日本人で唯一3回(93、08、16年)の公演を実施。複数回実施アーティストは高橋のみ。

▼主題歌25曲 オリジナルの307曲中、150以上の楽曲で作詞を手掛け、ドラマや映画の主題歌になったのは25曲。

▼紅白歌合戦で最年長記録 16年にソロとして4回目の出場。当時の67歳9カ月は紅組最年長記録。翌年も出場して自己記録を更新した(68歳9カ月)。

▼アルバムは3位 15年6月に発売したアルバム「ClaChic」が、オリコンの女性歌手年長記録の3位(66歳3カ月)。

▼高橋の公演回数 79年の初ソロコンサート「ひとりあるき」ツアーから19年の「Mari Covers」ツアーまで、毎年欠かさずに行ってきた全国ツアーは、一昨年までの41年間で2763回を重ねた。20年、21年はコロナの影響で中止に。来年は42公演を予定し、すべて合わせると2805回。これに単発のスペシャルライブ17本、299回のディナーショーを加えると計3121回になる。今年のディナーショーは6本を予定。これも合算した公演数は合計3127回。トータル動員数は720万人を超える。

◆高橋真梨子(たかはし・まりこ)本名・広瀬まり子。1949年(昭24)3月6日、広島県生まれ。プロのジャズ奏者だった父の影響で14歳からジャズを学んだ。72年にペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとなり、「ジョニィへの伝言」「五番街のマリーへ」などがヒット。78年にソロ転向。代表曲に「桃色吐息」「はがゆい唇」「for you…」など。NHK紅白歌合戦に5回出場。血液型A。