女優草刈民代(56)が主演を務める舞台「物理学者たち」(本多劇場)が19日、幕を開けた。

冷戦下の核戦争危機まっただ中だった1961年に、スイスで生まれた戯曲が60年の時を経てよみがえる。精神病棟を舞台に、入所する3人の物理学者と院長を中心とした物語だ。

精神病棟の院長役を演じる草刈は、「私たちは行き過ぎた資本主義によって生じる弊害に振り回されています。そして、このコロナ禍によって、自分たちが本来どのようにあるべきかを考えざるを得ない局面を迎えています。作者のフリードリッヒ・デュレンマットはすでに60年前にそのことについて熟考していた人だということがよくわかってきました」と時代を超えた作品のテーマに共感した。

同作は、草刈の所属する芸能事務所ワタナベエンターテインメントが立ち上げた新プロジェクト「Diverse Theater」の第1弾で、演出をノゾエ征爾氏が務めた。

作者は喜劇と定義しているが、強烈な社会批判が込められている。草刈は「ノゾエ征爾さんは彼の世界観でエンターテインメント作品にしました。ぜひぜひ多くの方に観ていただきたいです!」と呼び掛けた。温水洋一、入江雅人、中山祐一朗、お笑いトリオ我が家の坪倉由幸らも出演する。26日まで上演。