南果歩(57)が5日、都内で開催中の東京国際映画祭ガラ・セレクション「GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮)」舞台あいさつ&ティーチインで、フィリピンの世界的な名監督・ブリランテ・メンドーサ監督(61)の、事前に台本を渡さない独特な演出について語った。

南は司会から、同監督の演出について聞かれると「聞きしに勝るメンドーサ組。セリフすらその場で、そのシーンを撮る直前に、ノートをビリッと破いたのを渡された」と笑いながら振り返った。

その上で「もっと驚いたのは(撮影が)いつスタートするか分からない。(カメラを)ずっと回している(俳優が)素に戻ったり、役に入るのを求めるのではなく。衣装を着て、その場にいることを撮る。ボクシングシーンも手を考えずに、その人の準備したのを全て出せと…恐ろしい現場」と語った。そして「映画は本来、こういう撮り方だったかと思い出させる。お芝居にスイッチも何もない…役を生きるんだと体を張って教えてくれる現場。素晴らしい監督だし、関われたことを幸せに思う」と絶賛した。

メンドーサ監督とは、18年の東京国際映画祭で同監督がコンペティション部門審査員長、南が審査員を務めた中で出会った。主演の尚玄(43)も、東京国際映画祭で同監督と出会ったという。南は「映画祭は人と人を結び付ける場だなと思います」と映画祭の意義、意味も強調した。

「GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮)」は、義足のため日本でのプロボクサーへの道が閉ざされた津山尚生がフィリピンへ渡って挑戦を続ける。くじけず目標に向かう物語。この日、舞台あいさつに登壇した実在のボクサー土山直純氏(39)をモデルに、同氏を支える異国のコーチ、仲間たちの姿を描くヒューマンドラマだ。南は「単身、フィリピンで夢をかなえるために1人の青年で単身、向かった物語。尚玄が体現…人生を賭けて取り組んだと思う」と尚玄の演技と役作りをたたえた。