“今年一番売れた芸人”がお笑いコンビ、かまいたちの山内健司(40)と濱家隆一(38)だ。9月から始まったゴールデン帯初レギュラーMCを務める、テレビ朝日系社会科見学バラエティー「ウラ撮れちゃいました」(木曜午後7時)をはじめとして、テレビ、ラジオ、ネットなどのレギュラーが16本! そのキラッキラに輝く売れっ子ぶりを聞いてみた。【取材・小谷野俊哉】

仲の良さが伝わってくるかまいたちの山内健司さん(左)と濱家隆一さん(撮影・野上伸悟)
仲の良さが伝わってくるかまいたちの山内健司さん(左)と濱家隆一さん(撮影・野上伸悟)

★9月から「ウラ撮れ」

9月から始まった「ウラ撮れちゃいました」。これまで体を張ったロケなどが多かったが、スタジオでVTRを見ながらMCとして番組を進行していく。

濱家「勉強もできるし、知識が増えるのは、見てて楽しいと思う。スタジオのトークは思いっきり集中して見なくても、知識も得られて楽しめるという感じのバラエティー。結構な、本当にあんまり見たことのない裏側を見られる番組っていうことですね」

山内「映像が、もう面白いんで。スタジオで、本当に見ながら楽しんでるだけ。自分らが行くのじゃなくてよかった(笑い)」

番組で一緒にMCを務めるのは元乃木坂46の白石麻衣(29)だ。

濱家「だいぶ、距離は縮まったんかなーっていう感じはしますね。まだまだですけど、はい。結構クールな感じなんかなぁと思ってたんすけど。でも本当にムチャ振りでもなんでも、とりあえず挑戦してくれるっていう。尻込みしないタイプの方やから、やってて楽しいですね」

山内「女優されたりとか、かっこいい役が多いんで、クールなイメージがめちゃめちゃあった。こっちが変な振りをしても、全部反応してくれる感じ。バラエティー力、めっちゃ高い」

テレビ、ラジオ等々を合わせて16本のレギュラー。

濱家「でも、まぁ、普通に寝てます。朝の情報番組の時とかは、ちょっと早起きせなあかんけど」

山内「それ、俺は出てないから(笑い)。僕、めっちゃ寝ますね。7時間とか」

★朝3時半起き

濱家が水曜パーソナリティーの日本テレビ系の情報番組「ZIP!」は午前5時50分からの生放送だ。

濱家「僕も今年38歳のオジサンですから。マネジャーが気をつかってくれて、火曜日はなんぼ遅くても午後9時くらいには終わってくれてる。最初ほんまに、これドッキリちゃうかなっていうのもあったんです。どうやらほんまやなってなった時はうれしかった。ただ朝の3時半に起きて『ZIP』を午前8時までやって、隔週で大阪まで行って、レギュラー番組の4本撮りを2番組やってるんで」

山内「『ZIP』の日に、そのまま大阪に行って撮るんです。起きる時間、スタートが違うんで、夕方らへんで、もうすでに深夜レベルの下ネタを言いだす。まだ、そんな時間じゃないねんていう(笑い)」

03年に吉本の養成所NSCに入所、翌年5月にコンビを結成した。島根出身の山内は奈良教育大卒、中学と高校の教員免許を持っている。

山内「教師になるか芸人になるか、迷っていたという感じでしたね、ずっと。で、NSCに行ってみて決めようかなって。『2、3年やってみてダメだったら、すぐ撤退しいや』みたいな感じで、親にも言われてた。2、3年は、やってみようぐらいの感じでしたね」

濱家「僕は、物心ついた時から芸人になりたいなぁって。大阪出身だから『芸人なんねん』って言っても『えーっ』みたいな反応、そんななかったですね」。

09年4月にフジテレビ系「ふくらむスクラム」に抜てき。「めちゃ×2イケてるッ!」スタッフが作る、若手芸人の登竜門的番組だったが1年で終わった。

山内「恥ずっ、と思いました。選ばれた時点で、みんなから『売れたなぁ』って、めちゃくちゃ言われたんですよ。『もう大丈夫や、一生』みたいに言われて『うらやましいなぁ』って。それがまさかの1年」

▼▼後編には「19年M-1の思い出」「手をつないでスキップ写真」も▼▼

★M-1準V満足

その後、関西で売れっ子に。17年10月にキングオブコント優勝、翌18年4月に関西のレギュラー番組の大部分を降板して上京。

山内「M-1優勝かキングオブコント優勝しかないって思ってて。キングオブコント優勝の時点で、大阪にどんだけレギュラーがあろうが、とにかく行こうって。自分らがMCさせてもらってる番組だけ残したって感じですね」

04年から出場し続けたM-1は、キングオブコント優勝後は17年に初の決勝進出で4位、18年に5位、結成15年という出場資格のラストイヤーとなった19年は本命視されたが準優勝。

山内「“M-1が全て感”は、全若手芸人にある。優勝して終われたらベストだなと思いながらも、満足行くネタが披露できたから、まぁいいかって」

濱家「前年と前々年が全く納得いってなくて。結局、優勝せな気持ちよく終わられへんねんなと思ってたんすけど。最後2019年に出た時は、自分のテンポでちょうどいい漫才ができたんで、本当すっきりしたって感じでしたね」

最終決戦の投票で審査員7票中1票だけ獲得。その1票をダウンタウン松本人志(58)が投じた。

濱家「松本さんが1票入れてくれたこととか、いろんな先輩の方たちが『面白かったね』と言ってくれたのが大きかった。それこそ松本さんが準優勝にしてくれたって思ってるんで。あの1票があるかないかは全然違った」

仲がいいと噂のかまいたちの山内健司さん(左)と濱家隆一さん。「手をつないでスキップしてもらえますか」という無茶ぶりにも、飛びきりの笑顔で快く応じてくれました(撮影・野上伸悟)
仲がいいと噂のかまいたちの山内健司さん(左)と濱家隆一さん。「手をつないでスキップしてもらえますか」という無茶ぶりにも、飛びきりの笑顔で快く応じてくれました(撮影・野上伸悟)

上京して3年半、テレビで見ない日はないという売れっ子になった。

濱家「でも、売れたな! は、まだないんすよね。やっぱ不安定。常にぐらぐらした状態の毎日って感じ」

山内「よく言われるんですけど『もう大丈夫やな』みたいな。その感覚はない」

MCを務めることも多くなった。そこで失速してしまう芸人も多い。

山内「その辺の声をねじ伏せるために、単独ライブをした。そういうところで存在を見せつけながら、やっていきたい。見に来られない人に向けてやれたのは良かった」

2年ぶりだった9月の単独ライブは配信だった。

濱家「カメラを何台も使ったりで新しい映像を。今までなかったシステムに触れて新しいこと挑戦できる」

昨年2月に開設したYouTube「かまいたちチャンネル」は登録者数147万人。

山内「若い子ほど『YouTube見てます』っていう人が多い。やってみたら、僕らを知ってくれる層が広がった」

2021年、コロナ禍の年にMVP級の活躍を見せた2人。

山内「めちゃくちゃ忙しい感じだけど、いきなり16本になったんじゃない。このペースで、もっと増えたらいいなって」

人気に実が詰まっている。地に足がついたまま、走り続けている。

▼「ウラ撮れちゃいました」の寺田伸也ゼネラルプロデューサー

「勢いのあるコンビでゴールデンタイムのバラエティーMCの顔ぶれに新風を吹き込むのが狙い。まだ若手と思われてますが、結成17年と意外とキャリアは長く、経験に裏打ちされたトークスキルは十分。濱家さんはトークの回しがうまくVTRに対するツッコミも的確、山内さんはコメントでのワードセンスが素晴らしく笑わせてもらっています。『我々に足りないことがあったら何でも言ってください』と謙虚で真面目。ストレートに『お金持ちになるのが目標(笑い)』と言えてしまうところもすてきです。この番組だけでなく、テレビ業界全体を背負う芸人さんになって欲しいです」

◆かまいたち

03年NSC大阪校26期生。04年5月「鎌鼬」として結成。07年ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞。08年上方漫才大賞新人賞。09年4月「かまいたち」に改名。13年ABCお笑いグランプリ優勝。17年キングオブコント優勝。19年M-1グランプリ準優勝。

山内健司(やまうち・けんじ)

1981年(昭56)1月17日、島根県松江市生まれ。奈良教育大卒。趣味・特技はボウリング、マージャン、卓球。168センチ、72キロ。血液型B。

濱家隆一(はまいえ・りゅういち)

1983年(昭58)11月6日、大阪市生まれ。府立茨木東高時代は野球部キャプテン。趣味・特技は野球、マジック、漫画。187センチ、80キロ。血液型B。

◆テレビ朝日系「ウラ撮れちゃいました」

かまいたちと白石麻衣が司会。巨大スーパー、飛行機エンジン整備、マジックなどの裏側に密着したVTR映像を紹介。12月2日は群馬、香川、スズメバチなどを特集。ゲストは中山秀征、松本明子、Snow Man、渡辺翔太。