鈴木亮平(38)が3作品で助演男優賞を受賞した。「うれしいです。感謝しかないです」と喜びをかみしめた。

昨年の緊急事態宣言発令で一時、仕事がなくなり「もう映画って作れないんじゃないか、残された人生、あと何本かしか、出られないんじゃないか」と不安に駆られた。その時に唯一、机の上に残ったのが「孤狼の血 LEVEL2」(白石和彌監督)の台本。親の敵をとるためなら手段を選ばず、ちゅうちょなく人を抹殺する凶悪な役に魅力を感じた。「あまりにも強烈な役だったので、この役は断れないなって。これだけの役を鈴木亮平に振ってくれるっていうことが、単純にうれしかったです」と笑顔で振り返った。

撮影では力が入りすぎて「(主演の松坂)桃李を殴る数を間違えてしまった」と明かし、「1発多くやっちゃって(笑い)。でもこんなに好き放題暴れられたのは、桃李が主役としてどんと構えてくれてたからなんです」と感謝した。

「土竜の唄 FINAL」(三池崇史監督)では主演の生田斗真(37)と4回目の共演。年下でも「いくつになっても勉強になる。自分にないものをたくさん持っている」。

「燃えよ剣」は「自分に足りないものが見えた。役者のあり方を変えてくれた映画」と、常に周りへのリスペクトを欠かさない。

7月期TBS系ドラマ、日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」では主演。一部の公開延期などで運命的に出演作が重なり「必然的に大事な年になった」。ヒーローから悪役まで、広い振れ幅の根底に「演じることが好き」という純粋な思いがある。「自分の中で(俳優は)ただの仕事ではなくて、生きていく“柱”。いただける1つ1つの役を後悔のないように、失礼がないように、精いっぱい役を愛すということを大事にしています」。2年後には40代。「どういう俳優かわからないよねって言われたいです」と力を込めた。【三須佳夏】

◆選考経過・助演男優賞 2回の投票を要したが鈴木の圧勝だった。「『孤狼の血』で感じた恐怖と『燃えよ剣』で部下を束ねる姿が圧倒的」(神田紅氏)「『孤狼の血』の役を『悪と思っていない』と言って演じたのはすごい」(安藤涼子氏)と称賛が相次いだ。

◆鈴木亮平(すずき・りょうへい)1983年(昭58)3月29日、兵庫県生まれ。東京外語大英語専攻卒。06年テレビ朝日系ドラマ「レガッタ~君といた永遠~」で俳優デビュー。07年「椿三十郎」で映画デビュー。18年に大河ドラマ「西郷どん」で主演。世界遺産検定1級を所有しており、20年に著書「行った気になる世界遺産」を発売。186センチ、血液型A。

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◆「孤狼の血 LEVEL2」 呉原東署の刑事・日岡秀一(松坂桃李)は広島の裏社会を治めていた。その中、五十子会の上林成浩(鈴木)が刑務所から出所し、恨みがある人の家族を惨殺したり兄貴分、組長らをあやめ、上林組を興し、日岡の前に立ちはだかる。

◆「燃えよ剣」 武州多摩で“バラガキ”と呼ばれた土方歳三(岡田准一)は、武士になる夢を胸に近藤勇(鈴木)沖田総司(山田涼介)ら同志と京都に向かい、芹沢鴨(伊藤英明)を局長に擁して新選組を結成。討幕派の制圧に動くが、時流は倒幕へと傾いていく。

◆「土竜の唄 FINAL」 菊川玲二(生田斗真)は警察をクビになり潜入捜査官“モグラ”に任命され麻薬撲滅のためヤクザのドンを逮捕すべく組織へ送り込まれる。過去最大の取引額6000億円の密輸阻止に動く玲二の前に最凶の敵轟烈雄(鈴木)が現れる。

昨年「浅田家!」「Red」「一度も撃ってません」で助演男優賞を受賞した妻夫木聡(41) 第34回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞受賞おめでとうございます。鈴木亮平くんとは残念ながらまだ共演はありませんが、作品にかける情熱と役と向き合う覚悟にはいつも驚かされます。真摯(しんし)に貪欲に役に身をささげる亮平くんと、いつか同じ場所で同じ時間を過ごしてみたいとひそかに思っております。さまざまな役に挑戦し続けるのは非常に困難なことだと思いますが、くれぐれもご自愛くださいね。またお会いできる日を楽しみにしています。