NHK前田晃伸会長の定例会見が13日、東京・渋谷の同局で行われた。NHK大阪放送局で制作され、昨年12月に放送されたBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」の字幕の一部に不確かな内容があったことについて謝罪した。

前田会長は「映画監督の河瀬さんや(撮影に参加した)島田角栄さん、映画関係者の方々、視聴者の方々に申し訳ないと思います。改めておわびします」。また「チェックの仕組みはしっかりとあるが、機能が十分に働かなかったことが一番大きな問題。再発防止に取り組むことが一番大切。不確かな事実をそのまま字幕にすることはあってはならない」と述べた。

番組は、東京五輪の公式記録映画の監督を務める河瀬直美氏(52)に密着取材したもので、ある男性が五輪反対デモに金をもらい動員されたと、裏付けのないまま字幕をつけて放送した。「字幕をつけなければ問題はなかったとの認識か」との質問に、前田会長は「放送した内容の裏を取ったのかと、そこが不十分だった。字幕がないからよかったとか、そういうことではない」。検証番組を放送する予定は現時点ではないといい、「率直に言って、お粗末だと思っている。再発防止に取り組む必要がある」と話した。

正籬聡放送総局長は「基本的な事実の確認ができていなかった」と説明。やらせについては否定し、「ディレクターが意図的に架空の内容を作り上げた事実はない」とした。