宝塚歌劇の月組新人公演「今夜、ロマンス劇場で」が25日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、178センチ長身の大型スター候補、礼華はるが2作連続の主演を務めた。相手役ヒロインは、初舞台から1年半にも満たない106期生の花妃舞音(はなひめ・まのん)が抜てきされた。

すらりとした立ち姿、快活な笑顔。礼華は、15年入団の101期生。20年秋の「ピガール狂騒曲」で新人公演初主演予定だったが、コロナ禍で取りやめ。前トップ珠城りょうの退団公演だった前作「桜嵐記」で初主演し、新トップ月城かなとの本拠地お披露目になった今作でも新人公演のセンターを射止めた。

「前回はちょっと力んでしまったんですが、今回は楽しんで、きちんとこの芝居、役をお届けしたいと思い、稽古をしてきました」

2度目のセンター、そして、新人公演最終学年の7年目。その心得も自覚し「長の学年として皆を引っ張っていけるよう気を引き締めて、お稽古に臨みました」と振り返った。

同名映画をもとにした芝居は、映画の青年助監督と、モノクロ映画から飛び出したヒロインの恋を描く。礼華は「とても温かい作品で、今日は今まで以上に相手役を思って感じることができました」。劇中のセリフ「夢や希望を持たないといいものは生まれない」との言葉に背を押されたと言い、本番では情感たっぷりに主演をつとめあげた。

今作の本公演は月城かなと、海乃美月の新トップコンビ本拠地お披露目。礼華の相手役に迎えられた花妃は、コロナ禍で遅れて20年9月に初舞台を踏んだ2年目娘役。抜てきに「まさか…の思いで、本当にびっくりしました。(稽古中も)毎日学ぶことばかりで、温かい皆様に囲まれて、今日を迎えられました」と礼華ら先輩に感謝。「大好きな作品で、本当に幸せでした。こんなにすてきな舞台で、夢みたいでした」と話すと、にっこり笑い、初々しさものぞかせた。

今公演では、礼華と同期、7年目の彩音星凪(あやおと・せな)が、スター役者の俊藤龍之介にふんし、芸達者な本役の鳳月杏にならって、巧みな芝居運びを見せていた。

東京宝塚劇場での新人公演は3月10日の予定。