キャスター辛坊治郎氏(66)が、メインパーソナリティーをつとめるニッポン放送「辛坊治郎ズームそこまで言うか!」(月~木曜午後3時30分)の24日放送に出演し、北海道・知床半島沖で事故を起こした観光船「KAZU1(カズワン)」の引き上げ、えい航中に発生した船体落下と再沈没について「あり得ない、ふざけるな」と持論を語った。

自身もヨットを所有し太平洋横断などに挑戦してきた辛坊氏は、今回の船体落下の話題で「最近、日本人がものすごくやさしくなって、基本的にネットで炎上したくないものだから」と前置き。引き揚げ作業にあたった関係者らへのねぎらいの声がネット上で多いとした上で、落下について「あり得ない、こんなもんふざけるなレベル」と語気を強めた。

辛坊氏はその後、船舶を陸揚げする方法について詳しく解説。通常、水面に浮かんでいる状態の沈没船と同等の大きさの船舶の場合、船体に2本のベルトをかけて持ち上げて陸揚げするが、今回は船内に海水が入り込んでおり、相当な重さになっているため、陸揚げ前に水抜き作業が必要と言及した。一方で、船体が水中にある場合は相当な浮力が働くため、海流やえい航中の水の抵抗などでベルトからすり抜ける可能性があると指摘した。

辛坊氏は、「私が責任者なら、バウ(船首)にあるアンカーチェーン(いかりをおろすためのチェーン)に1本ワイヤかロープを結んでおくだけで、たとえベルトから抜けたとしても落下することはない」と、今回のえい航方法について疑問を呈した。さらに、ベルトからすり抜けるリスクに備えていなかったとして、「私の感覚からするとあり得ない」と続けた。

ただ、「絶対にどこにも傷をつけるなというものすごいプレッシャー」が現場にかかっていたため、2本のロープ以外を使用することにためらいがあった可能性もあると指摘。辛坊は「現場にそういうプレッシャーをかけたやつが、きっといるんだと思うね」と推察し、「あり得ないことはあり得ないと声をあげないと、また同じことが起こる」と危機感を示した。