宝塚歌劇団の花組トップ柚香光が主演する「巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~」「Fashionable Empire」が4日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎えた。

ひときわ華やかなオーラを放つ人気トップ。柚香が芝居でふんしたのは、女性ファンを失神させたという伝説も残るピアニストで作曲家のリスト。柚香は、開幕前の取材で「ピアニスト界のアイドル…自己プロデュース力ゆえのパフォーマンス力、サービス精神ゆえの華やかさ、輝きを、人間味をもって届けたい」と言い、稽古を重ねてきた。

少年時代に神童と呼ばれつつも、パリ音楽院で挫折、貴族へのあこがれと、自身の本質からの隔たり…超絶技巧とたたえられた天才的技量、恵まれた容姿の裏にある苦悩。「華やかな表の部分と、内面にある芸術家らしい奥ゆかしさ、繊細さ、葛藤、悩みを深く掘り下げたい」とも話し、自らが演じるリスト像に試行錯誤を繰り返してきた。

そのリストと魂でひかれあうマリー・ダグー伯爵夫人は、トップ娘役の星風まどか。リストのライバルであり親友ショパン役は、柚香と同期の人気スター水美舞斗が熱演した。

冒頭から、リストとからむ男装の女性作家ジョルジュは、人気スター永久輝せあが妖しさもまとった演技で魅了。後にマリーらと革命の道へ進むジラルダンは、進境著しい聖乃あすかが、凜(りん)とした演技力を見せた。

また、今作で退団する飛龍つかさは、星風演じるヒロインの夫、ダグー伯爵を好演した。

花組は、トップ柚香が率いて本拠4作目。充実期に入り、その団結力は、ショーでも発揮された。

柚香、星風のトップコンビに水美と、ダンサーぞろいの花組だけに、柚香も「いや~、みんな、よく、踊りますね。ほんとに。下級生にいたるまで。こんなすてきな子が? って、お客さまに新鮮に思ってもらえると思う」と言い、自信を胸にセンターに立つ。

開幕前日の3日には、通し舞台稽古を終え、柚香は「明日からの初日、1人1人病に気をつけて、けがに気をつけて、1回1回を大切に精いっぱい、つとめてまいります」と約束もしていた。

宝塚大劇場は7月11日まで、東京宝塚劇場は同30日~9月4日の予定。