今年3月に開催された米アカデミー賞授賞式で、俳優ウイル・スミスに平手打ちされたコメディアンのクリス・ロック(57)が、来年のアカデミー賞授賞式の司会をオファーされていたことが分かった。28日に米アリゾナ州フェニックスで行われた自身のコメディショーで、「ハリウッド最大のイベントに戻ることは、犯罪現場に戻るようなものだ」とジョークを交えてオファーを断ったことを明かした。

プレゼンテーターとして登壇したロックは、スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスの容姿をネタにしたジョークを披露。これに激高したスミスが、生放送中にロックを平手打ちする騒動が起き、世界中に大きな衝撃を与えた。騒動を受け、ロックの全米ツアーは連日完売の大人気となっており、当初は沈黙を守っていたロックも最近はビンタ騒動をネタにすることも増えてきたと言われている。

スミスは謝罪動画を公開するなどSNSを通じて謝罪の意を伝えているが、ロックは直接の謝罪を受け入れていないとされている。一方で、ロックはくり返し「自分は被害者じゃない」と観客に語っており、「気持ちを切り替えて、翌日には仕事に行ったよ」と話して会場を沸かせたこともある。

騒動後スミスは主催する映画芸術科学アカデミーから授賞式への出席を10年禁止される処分を受けた一方、騒動の影響もあって視聴率がうなぎ上りだったことから中継するABCテレビがロックの司会起用を検討していると伝えられていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)