交際していた男性が住むマンションの玄関ドアを壊したとして、器物損壊罪に問われたタレント小桜セレナ被告(38)の控訴審判決で東京高裁は3日、懲役1年2月、執行猶予3年とした1審判決を破棄、無罪を言い渡した。

 「け破られたドアの穴から被告が入ってきた」という住民の目撃証言の信用性が争われたが、原田国男裁判長は、穴は縦約72センチ、横約24センチだったとして「被告は胸囲101センチ、胸板29センチで穴をくぐり抜けられない」と信用性を否定。「犯人とするには合理的疑いが残る」と述べた。

 判決によると、小桜被告は06年11月18日朝、東京都港区西麻布のマンション1階にある男性方を訪れた際、木製玄関ドアの中央部分をけ破ったとして起訴された。被告は先に部屋にいた別の女性ともみ合いになり、その後、男性が帰宅。隣室の住民の通報で警察官が駆けつけ、ドアの破損を確認した。

 公判で被告側は「壊したのは男性」と訴えたが、1審東京地裁判決は住民の証言や「男性警察官は穴を通り抜けられた」とする警察の実験結果などから有罪とした。

 高裁では、同じ大きさの穴を被告がくぐり抜けられるか実際に検証したところ、うまく通り抜けられなかった上、「実験でくぐり抜けた」とされた警察官の胸板が21センチしかないことが判明。

 住民の証言内容も、具体的状況についてあいまいだったため、信用できないと判断した。