NHKが、策定中の次期経営計画案で最大の焦点となっている受信料体系の見直しについて、衛星放送料金の2割程度の値下げや、75歳以上の低所得世帯の受信料免除を検討していることが25日、分かった。

 現在月額945円の衛星放送料金を2割値下げした場合、月額750円前後となる計算。値下げ案は受信料収入の順調な回復が背景にあるが、高齢者免除と併せて実施すると年間400数十億円規模の減収になる見込み。

 NHK執行部や経営委員会の中には、2011年の地上デジタル放送完全移行に向けて多額の経費が必要となるため、値下げには慎重な意見もある。一方、全契約者を対象にする一律値下げを求める声もあり、計画案の取りまとめに向けて議論が続きそうだ。

 衛星契約件数は、有料受信契約総数の約36%(約1330万件)。衛星放送については、地デジ完全移行に合わせて現在の3波から2波に削減される見通し。

 関係者によると、75歳以上の高齢者については、市町村民税が非課税の世帯を対象に全額免除する案を軸に検討しているという。

 NHK執行部は、計画案を8月末までに経営委に提出する予定で詰めの作業を急いでいる。次期経営計画の対象期間は、事業収支が09年度から3カ年、事業運営の基本方針が5カ年。

 次期経営計画をめぐっては昨年、当時のNHK執行部が月額最大100円の受信料値下げを含む計画案を提出したが、経営委が承認しなかった。