裁判長は、最大限のチャンスを与える道を選んだ。5億円もの詐欺罪に問われ、11日の大阪地裁判決に臨んだ小室哲哉被告(50)。判決後の記者会見で「大変大きな過ちを犯した。判決を真摯(しんし)に受け止める。ファンや音楽関係者を裏切って申し訳ない。自分が情けない。一生懸命、一から出直すつもりで仕事にはげみたい」と謝罪した。

 会見は裁判所隣の大阪弁護士会館で開かれた。黒の細身のスーツにネクタイ姿で、冒頭に硬い表情のまま深々と頭を下げた。一方で「音楽がわたしの天職。何が何でも再起しないといけない。プライドを守りたい」と決意も見せた。

 法廷内では、傍聴席に厳しい表情で一礼し、証言台の前に立った。裁判長は「被告人は有罪」とだけ告げ、主文を後回しに。緊張が解けないまま、直立不動で判決理由を聞き、約15分後に執行猶予付き判決が言い渡されると、首を1度ぶるっと震わせた。

 「2度とこういうバカなことをしないように、まっとうな人生を送ってほしい」「法廷で約束した通り、初心に立ちかえり愚直に生きて」。裁判長から諭されると力強く何度もうなずいた。その後、傍聴席に向かいこわばった表情のまま1度黙礼し退廷した。

 この日は、62枚の傍聴券を求め660人が並んだが、大半が関係者とみられファンらしい人はまばら。小室被告が演奏する楽曲の放送を自粛している放送局もまだあり厳しい状況は続く。

 [2009年5月11日12時37分]ソーシャルブックマーク