NHK経営委員を務める漫画家の倉田真由美さん(39)を進行役に起用した番組が、NHK教育テレビで8月3日から4週連続で放送されることが31日、分かった。

 経営委員会はNHKの経営方針などを議決する最高意思決定機関。NHKは倉田さんの起用を「(6月20日の)就任前に決まっていた」としているが、NHK会長ら執行部を監督する立場にある経営委員の番組起用は、視聴者に誤解を招く恐れがあるとの指摘もある。

 倉田さんが出演するのは、結婚をテーマにした「歴史は眠らない

 婚活白書」。語り手として番組を進行する。

 NHKによると、出演依頼は2月。倉田さんの人事が国会で同意された5月には収録が進んでおり「あらためて検討したが、結婚観に詳しく、婚活パーティーを取材するなど問題意識も旺盛。出演者としてふさわしいと判断した」という。倉田さん側は「経営委員在任中の番組出演は無理だと納得している。今回は特例という認識」と話す。

 経営委員の起用について、NHK広報部は「一般の出演者より慎重な配慮は必要だが、専門分野など必然性があれば今後も出演していただくことはある」としている。

 「開かれたNHKをめざす全国連絡会」世話人の醍醐聡東大名誉教授は「自分が出演した番組が批判されたとき、執行部がどう対応するかを経営委員としてチェックできるのか。出演料は便宜供与ともとられかねず、執行部との距離が危うくなる。出演を控えるのが原則だ」と指摘。

 音好宏上智大教授(メディア論)は「一概に経営委員だから出演するなという話にはならないが、NHKは視聴者に疑念を抱かせないよう起用理由などの丁寧な説明が必要だ」と話している。

 [2010年7月31日9時43分]ソーシャルブックマーク