仙台市在住の歌手さとう宗幸(62)が24日、東日本大震災後、初めて取材に応じ「美しいふるさと宮城を必ず取り戻す」と力強く宣言。自らも被災し、死を覚悟するほどの恐怖を感じたが、復興へ長期的な支援活動をすると決意した。

 さとうの脳裏には「恐怖の3分間」が深く刻まれていた。11日午後、仙台市内を車で走行中に震災が直撃。停車すると、隣に停車した大型トラックが激しく横揺れしていた。「あれほどハンドルをしっかり握りながら、ドアにぶつかった揺れは初めて。地震の揺れの怖さ、トラックが倒れてきたら終わり…長い3分間。怖かった」。

 自宅の電気がつくまで5日かかり、津波はラジオで聴いた情報で想像するしかなかった。氷点下4度の中、妻と布団の中で「避難所の人は毛布1、2枚で、死ぬ思いでいる」と励まし合った。電気が復旧し、津波の映像を見て言葉を失った。自らの歌で被災者を勇気づけようと、ギターを手に毎日歌っている。宮城を代表する歌手として、復興に歌手生命をかける。