人気絵本「かばくん」で知られる童話作家で詩人の岸田衿子(きしだ・えりこ)さんが7日午前9時35分、髄膜腫のため神奈川県小田原市の間中病院で死去した。82歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。お別れの会を後日開く予定。喪主は長男未知(みち)氏。

 東京芸大油絵科卒。画家を志したが、胸部疾患の療養を機に詩や散文を書き始め、1955年に詩集「忘れた秋」を発表。中谷千代子さんが絵を担当した絵本「かえってきたきつね」(73年)がサンケイ児童出版文化賞の大賞を受け、童話作家として注目された。

 代表的な詩集に「あかるい日の歌」や「ソナチネの木」。絵本に「ジオジオのかんむり」などがある。動物園のかばの一日を描いた「かばくん」は欧米で翻訳出版され、高い評価を受けた。

 外国の児童書や絵本の翻訳でも活躍。訳書に「なかないでくま」など。テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」などの主題歌の作詞も手掛けた。

 父は劇作家の故岸田国士氏、妹は俳優の故岸田今日子さん。