昨年11月に飲食店でのトラブルで重傷を負い、謹慎していた歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が2日、東京・新橋演舞場の「七月大歌舞伎」昼の部の「勧進帳」に出演。昨年9月の京都・南座以来、約9カ月ぶりに舞台復帰を果たした。

 「勧進帳」の冒頭、富樫役の海老蔵が長ばかま姿で登場すると、満員の客席から一斉に拍手が湧き起こり、「待ってました」「成田屋」と声が飛び交った。弁慶を演じるのは、父市川団十郎。関の通行をめぐる2人の攻防はスリリングで、海老蔵は朗々と響く声、気品ある振る舞いで魅了した。

 海老蔵は、このほか夜の部の「春興鏡獅子」など計4演目に出演。

 チケットの売れ行きは好調で、午前10時半に開場すると待ちかねたファンらが続々と入場した。群馬県玉村町の地方公務員熊谷喜美子さん(36)は「海老蔵さんのにらみが大好き。目をけがしたと聞いて心配したが、またにらみを見られたらうれしい」と話していた。

 海老蔵は昨年11月下旬、知人の元暴走族リーダーらとの酒席でトラブルとなり、知人の後輩の男から顔などに暴行を受けた。松竹は海老蔵を謹慎させ、年末恒例の京都・南座の「吉例顔見世興行」などを休演した。