バレエの本場、モスクワのボリショイ劇場に所属する日本人唯一の第1ソリスト、岩田守弘さん(41=横浜市出身)が今シーズンで退団する。岩田さんが7日、共同通信に明らかにした。ロシアで約20年間ダンサーとして活躍。退団後はバレエ振付家として日ロ両国で活動する意向だ。

 岩田さんは1990年、モスクワに渡り、別のバレエ団を経て96年、ボリショイのソリストに。バレエダンサーとしては小柄だが、跳躍や表現力に定評がある。米国人男性が今シーズン入団するまで、ソリスト以上では唯一の外国人だった。

 岩田さんは「ボリショイは居心地も待遇もよく、落ち着くとそのまま年を取ってしまい、やりたいことができなくなる」ため、余力のあるうちにボリショイを離れ、転身することを決意した。「ベテランが残ると若い子が出てこられない」ことも懸念していたという。

 振付家は「バレエの一番の土台」である踊りをつくる。クラシック重視のロシアバレエも、時代と共に新しさも求められるようになり、振付家として「自分で新しいものをつくりたい」という。

 岩田さんは11月5日には「チポリーノ」で主役を踊る。シーズンは来年6月ごろまで続く。最終公演は決まっていない。