フィリピンを中心に戦没者の遺骨収集事業を行っていたNPO法人「空援隊」(東京)が、虚偽の報道で名誉を傷つけられたとしてNHKに訂正と謝罪の放送を求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、請求を棄却した。

 問題となったのは10年10月2日に放送された番組「追跡!AtoZ」の「“疑惑の遺骨”を追え

 戦没者遺骨収集の闇」。空援隊がフィリピンで、現地住民に高額の金銭を払って遺骨を収集させ、日本人の骨とは確認せずに受け取り送っていた疑いがあるとの内容だった。

 松並重雄裁判長は、NHKが取材で<1>空援隊は遺骨の数を数えただけで受け取っていた<2>骨を見てもどこの国の人間か分かるはずがない-などの住民らの証言を撮影していたことから「真実と信じる相当の理由があった」と名誉毀損(きそん)の成立を否定。内容が真実かどうかの判断は示さなかった。

 NHKは「妥当な判決」としている。