劇団前進座は2日、演劇活動の拠点としてきた東京・吉祥寺の前進座劇場を来年1月の歌舞伎公演を最後に閉館し、取り壊すと発表した。隣接する病院の拡張計画に伴い、敷地を譲るためとしている。

 前進座によると、劇場は1982年に建設。作家の松本清張さんらが募金を呼び掛け、全国から寄せられた約1億9000万円を充て、本花道、回り舞台がある劇場となったという。

 昨年の東日本大震災を受けて、隣接する救急指定病院で施設の耐震化と拡張工事が行われることになり、協力することを決めた。劇団は新たにけいこ場や事務所を近くに建て、公演の際は劇場を借りて活動を継続する。

 前進座は31年創立。現在は中村梅之助さんが代表を務め、歌舞伎や時代劇、現代劇などを上演している。

 最終公演は歌舞伎「三人吉三巴白浪」。