NHKは21日、BSプレミアムで放送予定だったドラマについて、撮影開始直前、原作の出版元である講談社から映像化の許諾を白紙撤回され、制作、放送の中止を余儀なくされたとして、同社に対し、損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。作品名は「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」で、5月から4回シリーズで放送予定だった。NHKは準備費用などに弁護士費用を含め、約5982万円の支払を求めている。

 NHKは「著しく経済的損失を被っただけでなく、テレビ業界におけるNHKの信用は著しく毀損(きそん)された」とコメント。講談社も「脚本における原作の改変が著者の意向に大きく反していたことから、NHKと話し合いを続けてきたが、合意に至らず、ドラマ化見送りたい旨を伝えた。このような事態になり、大変残念」とコメントした。

 訴状によると、講談社は作家から著作権の管理委託を受けている立場。NHKは、昨年11月にドラマ化の許諾が正式決定したと講談社から連絡を受け、準備を進めていた。その後、作家が脚本の内容に納得せず、打ち合わせや修正を重ねてきたが、2月にドラマ化許諾撤回の申し出があったという。