人気歌舞伎俳優で、テレビドラマなどでも活躍した中村勘三郎さんが5日午前2時33分、急性呼吸窮迫症候群のため東京都文京区の日本医科大付属病院で死去した。

 勘三郎さんの自宅を弔問した写真家篠山紀信(72)のコメント。

 「勘三郎さんがいない歌舞伎なんてちょっと考えられない。こんなことがあっていいのかと思って、悔しくて。信じられないです。力が抜けてます。病状についてはみんな口が堅かったので知らなかったのですが、1カ月半くらい前から、ひょっとしてとは思っていました。

 僕は(坂東)玉三郎さんをずっと撮っていたんですが、立ち役の人を撮ったのは勘三郎さんが最初でした。『座付きのカメラマン』とか言ってくれて、うれしかったです。常にアグレッシブに新しいことをもとめて、小さな枠におさまることない方で、僕がこういう風なものを撮りたいっていうことを、すぐ分かってしまう人でした。もったいないなって。歌舞伎にとっても、日本にとっても、本当に大きな損失じゃないですか。早すぎると思いました。残念なだけですね。

 (自宅の中の様子は)みなさん静かに淡々としてらっしゃって、(中村)獅童さんが付きっきりで、いろいろお手伝いしてらっしゃいました。勘三郎さんは本当に安らかに眠られていました」。