23日に肺がんのため93歳で亡くなった人間国宝の狂言師、茂山千作さんの通夜が26日夜、京都市左京区の金戒光明寺でしめやかに営まれた。

 1時間にわたって途切れることのなかった弔問の列は、約1200人にも及んだ。喪主で長男の千五郎さんは「おやじは『けったいな役者がおるなと思った人が、狂言を見に来てくれれば』と、テレビにも出たんですよ」と、狂言の普及に尽くした父をたたえた。

 祭壇に至る通路には、舞台で熱演する姿をはじめ、旅先や日常での茂山さんの写真が並び、参列者は足を止めて見入った。白い花々で飾られた祭壇には、楽屋で撮られたという遺影。狂言の装束を着けたくつろいだ笑顔が、茂山さんの舞台への愛着をしのばせた。