26年前に熊本県南阿蘇村の野外劇場「アスペクタ」で豪雨の中夜通し行われ、ファンの間で「伝説」となっているロックフェスティバル「BEATCHILD(ビートチャイルド)」の復活祭が25日、同じ劇場で開かれた。

 時折雨が降る中、当時参加した歌手の白井貴子が歌い始めると、観客が立ち上がり、会場は熱気に包まれた。

 ビートチャイルドは1987年8月、当時の音楽界を代表するバンドや歌手が参加した。詰め掛けた約7万2000人を一晩中、熱狂させた。一方で寒さや疲れで倒れる人も続出。復活祭は当時の映像をまとめたドキュメンタリー映画が26日から全国公開されるのに合わせ、アスペクタの運営団体が企画した。

 復活祭の最後は、映画のダイジェストが流れ、BOOWYや故尾崎豊さんなどが激しい雨に打たれながら演奏や歌を続けた姿が映し出されると、観客は息をのんだように見入り、涙を流す人もいた。

 熊本県益城町の会社員酒見一幸さん(44)は、26年前の会場で買ったフェスティバルのロゴ入りタオルを持って来場。「当時は失神した人もいるほどつらかったが、最高の思い出。人生で苦しいときにはこのタオルを見て励まされてきた」と感極まった様子で話した。