越路吹雪さんが歌った「愛の讃歌」や加山雄三さんの「君といつまでも」など数多くのヒット曲を手掛けた作詞家で文化功労者の岩谷時子(いわたに・ときこ=本名トキ子)さんが25日午後、肺炎のため東京都内の病院で死去した。97歳。ソウル生まれ。葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。

 1939年に宝塚歌劇団出版部に入り、51年に越路さんとともに東宝文芸部に移籍。マネジャー兼作詞家として越路さんとコンビを組み、「愛の讃歌」「ラストダンスは私に」「サン・トワ・マミー」など海外のヒット曲を訳詞した。

 ザ・ピーナッツが歌った「ふりむかないで」「ウナ・セラ・ディ東京」や、佐良直美さんの「いいじゃないの幸せならば」、ピンキーとキラーズ「恋の季節」、郷ひろみさん「男の子女の子」など数多くの作詞を手掛けた。

 ミュージカルにも造詣が深く、「王様と私」を日本にいち早く紹介。「南太平洋」「ジーザス・クライスト=スーパースター」「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」の訳詞を担当した。

 詞は、歌謡曲の主流だった七五調から脱して、会話を思わせるような新鮮な言語感覚が特徴。その後の流行歌にも大きな影響を与えた。

 79年に菊田一夫演劇賞特別賞、93年に勲四等瑞宝章。2009年に文化功労者に選ばれた。岩谷時子音楽文化振興財団を設立し、岩谷時子賞が創設された。