操り人形に負けた。歌手雛形羽衣が23日、横浜中華街のアートカフェ「東アジア文化都市2014横浜~ヨコハマサイドステージ~」で開催された「泉州市特別公演」で糸操り人形と書道対決を行い、完敗した。

 公演後、雛形は自信満々でステージに立った。忍者姿の“ジャパニーズスタイル”を強調した衣装で登場。先行の泉州市木偶劇団の庄麗娥氏(39)は10本以上の細い糸で人形を操り、横長の半紙に「福」を30秒で描き上げた。巧みな技術に店内外の客約70人は歓声を上げて、大きな拍手を送った。

 後攻の雛形は、歓声も気にせず、正座して精神を集中してから臨んだ。途中、書き順を迷った場面もあったが、同じく30秒で描き上げた。雛形は「先生の『福』がうますぎて動揺してしまいました。途中、『福』の書き方を忘れてしまい…完敗です」と負けを認めた。書道対決は国際交流でもあった。「こういった対決は面白い。数年ぶりに書道をしたので気持ちが高ぶりました」と興奮気味に話した。

 対決を終えた庄氏は「中国で『福』は、非常に縁起の良い文字で、日中韓をテーマにしたカフェで書けたことはうれしい。ただ、半紙のへこみのせいで、満足のいく文字が書けなかったことは悔しいです」と振り返った。雛形の文字については「形もきれいで、力強さがあって素晴らしい」とたたえた。庄氏は12年頃から糸操り人形を始め、同年末に中国の「全国人形劇大会」で金賞を受賞した実力の持ち主だ。

 関係者によると、2人が書いた作品は今後、店内に展示される予定という。作品を見た、雛形と同じ事務所の現代美術作家のユゥキユキ氏は「先生が書いた文字はまさに美文字。羽衣ちゃんのは元気が良くて、性格が出ている」と爆笑していた。

 東アジア文化都市は今年1月から11月まで、横浜市、中国・泉州市、韓国・光州広域市で行われている文化交流事業。同カフェは先月16日に、事業の一環で「食とアート」を通じて、日中韓の相互理解を図ることを目的に開業した。クリエイターには同事業の広報親善大使を務める、でんぱ組.incの夢眠ねむ、相沢梨紗、藤咲彩音らが参加している。

 同カフェは明日24日~30日まで、イラストレーターのマドモアゼルあんな氏がプロデュースする「アンナメローズカフェ」が期間限定でオープンする。