【2013年9月4日付

 日刊スポーツより】

 肺がん治療中のジョニー大倉が61歳の誕生日の3日、都内の病院で取材に応じ、闘病生活を赤裸々に語った。余命2週間と宣告されていたこと、約240時間に及ぶ抗がん剤治療で最大15センチのがんが2センチに縮小したこと、副作用からの苦しみを、脱毛した頭部をさらけ出して明かした。ありのままの闘病内容を語ることが、全国のがん患者の励みになればという思いからの叫びだった。

 リーゼントだったジョニーが、脱毛した頭部を隠すことなく語り始めた。

 ジョニー

 2週間で死ぬ命と言われた僕が、3カ月かけて、良い医者と良い薬と良い家族に助けてもらった。生きていることは良いことと実感しています。

 6月5日の入院前、実は家族にだけ「余命2週間」と告知された。MRIとCT検査で肺に14~15個のがんが見つかり、最大15センチにもなっていた。今も病院に寝泊まりして24時間付きそう妻のマリー大倉さん(60)、母が寝る夜中に徹夜で看病する長男で俳優の毛利ケンイチ(40)は言う。

 マリーさん

 生死をさまよう状況で、とても本当のことは言えなかった。

 毛利

 今思えば、奇跡としか言いようがない。

 家族の様子からジョニーも察してはいた。

 ジョニー

 命を絶つ瞬間というもの、寂しさとか、わびしさとかを感じていました。

 肺がん末期で、外科手術はできない状態。現在のがん3大治療で、残るは抗がん剤と放射線だが、主治医の力強い後押しもあり、抗がん剤治療を選んだ。副作用に加え、正常細胞も攻撃し、抵抗力も弱まるなどデメリットも理解していた。

 マリーさん

 主人の生きるんだ、死ねないという強い使命感を感じました。

 治療は過酷だった。1日12時間×5日の1クールを計4回。昼から夜中にかけた約240時間に及ぶ点滴治療に耐えた。一時は15キロも体重が減った。4クールの治療を終えたのは8月19日。リーゼントできめていた頭髪は抜け落ちていた。

 ジョニー

 12時間が5日。普通の人はひっくり返ったりするらしい。僕は闘って第4クールまで終わった。吐き気、つらいのはあるけど、そこで自分が闘える気持ちになるかならないか。乗り越えてみせる、絶対に勝ってみせるという精神力しかない。

 過酷な治療の結果、がんは2センチまで縮小したという。今でも副作用による吐き気やだるさはあるが、目の力は失っていない。

 ジョニー

 とにかくまだ死ねない。自分のステージ、曲、俳優としての個性が三位一体となって、またジョニーとして華やかにステージに立ちたい。来年2月にはライブを始めたい。やることはたくさんある。

 病室で、ブログに届くファンのメッセージに全て目を通している。その恩返しも込め、この経験は世に伝えたい。がん患者の励みになることも願ってだ。

 ジョニー

 一番いい生き方をチョイスするなら、がんに侵されてふさぎ込むのはやめた方がいい。この世に生まれて何をすべきか、もう1度判断すれば、「まだ大丈夫」という自信につながる。自分が闘える気持ちになるかならないか。最後は自分で乗り越えるしかない。僕も、がんになって、自分で制圧している感覚を力にして闘っていきたい。【聞き手・山田準】

 ◆ジョニー大倉の不死身神話

 87年にホテルの7階ベランダの手すりで懸垂中に転落するも、4階で引っかかり、地面にも足から落ちたため、全治6カ月の重傷で済んだ。長男の毛利は「普通なら死んでます。ロック用の厚底ブーツを履いてなかったら半身不随でした」。09年には悪性リンパ腫を放射線で除去した。