今月死去した高倉健さんのお別れ会が28日、遺作となった映画「あなたへ」のロケ地、長崎県平戸市の薄香浦漁港で開かれ、地元関係者やファンら約200人が献花してしのんだ。

 映画では、高倉さん演じる主人公が亡き妻の故郷の薄香浦を訪れ、漁船「そよかぜ」から散骨した。この日は小雨が降る中、地元関係者らがそよかぜに乗船して海に花を手向けると、雨脚が強まり、集まったファンの一人は「悲しみの雨ですね」と別れを悼んだ。

 撮影中、高倉さんからマフラーを贈られ、撮影後も手紙のやりとりを続けていた木山キミさん(91)は献花に先立って弔辞を読み上げ「首に巻いてもらったマフラーの温かさが今も残っている。長い間お疲れさまでした。ゆっくり休んでください」と語り掛けた。

 高倉さんの死去が伝えられてから漁港には記帳所が設けられ、記されたファンの名前は1300人を超えた。高倉さんが着た衣装や、出演者が地元の人と並んで撮った写真も飾られている。黒田成彦市長は「世代を超えて多くのファンを引き付け、今も私たちをとりこにしている」とたたえた。(共同)