脳梗塞を3度発症し、リハビリ中の上方林家の総帥・林家染丸(65)が13日、大阪・天満天神繁昌亭で、昨年襲名興行を行った弟子の林家菊丸(40)とともに、菊丸の同劇場での襲名公演ウイーク(26日~2月1日まで)発表会見に出席した。

 染丸によると、体調は「なかなか難しいもんで、何もせえへんと余計にあかんし、できるだけ稽古しよ思うて、弟子に三味線(の稽古)つけてます」と明かした。色気と気品にあふれた高座姿と、三味線の師匠としても知られる染丸は、リハビリの一環で、三味線指導を復活させたという。

 「ただねえ、なかなか思うように手が動かんので、口でそこちゃう、とか言うて教えてます」

 もどかしい現状を口にした。とはいえ、口頭での指導は絶好調の様子。この日は、弟子の菊丸が本拠地の昼席1週間出番でトリを務め、襲名興行ウイークとする会見。菊丸は出番7日間すべてでネタを変え、「猿後家」「立ち切れ線香」のほか、自作ネタ「貢ぐ女」などを披露する。「こっけい話から人情もの、新作とバラエティーに富んだ1週間にしたい」と意気込み、染丸も「挑戦する姿勢が見えてええね」と評価した。

 ただ、すぐさま「落語は人間性が出ます。ええ落語をやろうと思ったら、ええ人間になりなさい」「毎日、反省があって進歩があるんです」などと、“公開指導”が始まった。これに、菊丸は「はい…」と恐縮するばかりだった。

 染丸といえば、色気と気品にあふれ、華やかな高座姿で魅了する一方で、30代半ばの若さで一門の総帥になったため、弟子の指導への厳しさでも知られる。

 菊丸も「昔は稽古で仕上げになると、ビデオで撮影されまして、一緒に師匠と見て、もうケチョンケンチョンに言われたもんです」と、師匠の厳格さに敬服していた。