兵庫県出身の女優南野陽子(47)が17日夜、神戸市長田区で行われた、阪神・淡路大震災復興フリーライブ「ONE

 HEART」に参加し、これまでほとんど口にしてこなかった震災への思いを語った。

 約1000人の地元住民らが見守る中、復興への願いが込められた歌「しあわせを運べるように」の歌詞を朗読した。その後、地元の神戸市立真陽小の児童26人が同曲を合唱すると、涙がこぼれた。「みなさんが一生懸命生きてきたという歌声でした。神戸人のパワーはすごいです。このまま力強く生きて、日本を動かす人々であってほしいです」。目を真っ赤して、震える声で呼びかけた。

 伊丹市出身。震災時は都内にいて、ドラマ撮影中に犠牲者が刻々と増えていく状況をロケバスのラジオで聞いた。松陰高校(神戸市灘区)の同級生だった友人も犠牲になった。「自分の恵まれた環境が許せなかったです。揺れも経験していないのに、今日もここに来ていいのかなという思いもありました」と、複雑な心境を明かした。

 3年前には母を亡くし、「命」について深く考えるようになった。「20年前のあの日から時間が止まってしまった方を思うと何も言えませんが、生かされた人は精いっぱい生きる義務があると思います。そんな中、つらい経験をした神戸人の明るい振る舞いには、本当に尊敬しています。神戸の方が大好きです」と語った。

 ライブ前の午後5時46分には、地元住民らと犠牲者に黙とうをささげた。