本格正当時代劇をうたう映画「蠢動(しゅんどう)」(公開中)の舞台あいさつが20日、大阪・TOHOシネマズなんばで行われ、出演の若林豪(74)栗塚旭(76)三上康雄監督(55)らが登壇した。

 テレビからレギュラーの時代劇が消えて久しい現在、学生時代に小林正樹監督の名作「切腹」に感銘を受けた三上監督は「自分の見たい時代劇がないから、自分でつくりました」という。82年に自主映画初の16ミリで撮った作品を31年ぶりにリメーク。全国公開にこぎつけた。

 江戸時代の藩の存続問題に向き合う藩士たちの生き様を通して、武士道、正義の意味を描く。伊賀上野の重要文化財ほか、京都、滋賀、福井の雪中で撮影する全編オールロケを敢行。スタントなし、早回しなしの大殺陣や、長回しを多用するなどリアリティーを徹底的に追求した。

 家老役を演じた若林は「23時間座りっぱなしの撮影で、ひざに水がたまった」と裏話を披露。時代劇歴50年の栗塚は「長くやってきだけの私ですが、この映画ではぜひ若者たちのすばらしい殺陣回りを見てほしい。久々に“いい時代劇”に出させてもらいました」と語った。

 この日は「チーム蠢動」の若手俳優たちも登壇し、セリフをその場で実演。あいさつ後は三上監督、若林ら全員で観客を見送るなどサービス満点で、時代劇復興を訴えた。