2012年に死去した映画監督新藤兼人さんの代表作「裸の島」(1960年)のロケ地、広島県三原市の無人島「宿禰島」をゆかりの場所として残す活動をしている新藤監督の次男(65)らが23日、宿禰島を競売で落札した広島県福山市の男性と会い、800万円で買い取る契約を結んだ。

 契約後、取材に応じた新藤監督の次男で映画製作会社「近代映画協会」の新藤次郎社長は「ほっとしている。これで父が愛した島をそのまま残すことができる」と笑顔で話した。

 新藤社長らは今後、宿禰島を三原市に寄贈し、記念碑の制作などを検討する。

 これまでの募金活動で、申し込みがあった約650件のうち約450件の入金があり、約700万円が集まっているという。新藤社長は「募金してくれた人たちに感謝したい」と話した。

 新藤社長らは2月の競売に302万円で入札したが及ばず、779万円で落札した福山市のアパート賃貸業の男性と個別に交渉を続けていた。

 宿禰島は三原市の沖合1・5キロにあり、面積は0・74ヘクタール。「裸の島」は、水や電気がない瀬戸内海の小さな島に住む一家の日常や葛藤を描き、61年にモスクワ国際映画祭グランプリを受賞した。