“5万回斬られた男”として知られる名脇役の福本清三(71)が初主演した映画「太秦ライムライト」(落合賢監督)が、カナダで開催された第18回ファンタジア国際映画祭で、最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を受賞した。

 両賞の日本作品と日本人の受賞は初めてで、福本は歴代最年長受賞者でもあるが、審査員は満場一致だったという。

 同作は、15歳で東映京都撮影所入り以来55年間、斬られ役として主役を引き立ててきた福本が、太秦の撮影所を舞台に自分を投影したような老優を熱演。ニューヨーク・アジア映画賞でも最優秀観客賞を獲得するなど、内外で高い評価を集めている。

 福本は次のようにコメントした。

 「この評価は、苦労をかけたスタッフ全員の熱意と努力のたまものです。そんな仲間たちに支えられて、撮影をまっとうすることができたにすぎない私が主演男優賞とは信じられません。ご選考くださった方々には失礼な話ですが、何かの間違いのように思われ、落ち着かない気持ちでいっぱいです。出演者全員でいただいたものとうけとめております。ただただ感謝の一言しか、ございません。ありがとうございます」