俳優高良健吾(27)主演映画「悼む人」(堤幸彦監督、2月14日公開)完成披露試写会が26日、東京・丸の内TOEI1で行われ、原作者で、同作品で直木賞を受賞した作家・天童荒太氏(54)が、作品のテーマにもなっている「人類への愛」について熱く語った。

 「見も知らない遠い土地の、見ず知らずの人も愛し愛され、感謝された…そのことに思いをはせる(物語)。生きることに意識を持つのは、この先の世界の平和につながると思って(原作を)書きました。9・11(01年の米同時多発テロ)があり、3・11(11年の東日本大震災)があり…今も悲しい事件が続いている中で(高良演じる主人公)坂築静人は、この世界にいてほしい。生きていることが尊ばれるんだと世界が訴えることが、平和を作っていく思いなのでは…と。この映画は声を荒げることも、押し付けがましくもなく、人間が好きだから、生きていることを尊びたいから、静人が人を悼み続ける物語。世界でもこういう思いを持って、命を尊ぶ映画は初めてだと思います」

 天童氏は「今も悲しい事件が続いている」と指摘した。何を指しているかは言及していないが、過激派「イスラム国」とみられるグループによる日本人2人の人質事件なども暗に示唆した発言となった。

 高良をはじめ石田ゆり子(45)貫地谷しほり(29)大竹しのぶ(57)は、深くうなづきながら天童氏の話を聞き入っていた。堤監督は「先生のお話を、ずっと聞いていたい」と感激していた。