シンガー・ソングライター井上陽水(59)が、全編弾き語りのライブ盤「弾き語りパッション」を7月16日に全国発売する。フォークの帝王・陽水の原点とも言える弾き語りだけを収めたライブ盤は、73年7月発売のアルバム「陽水ライブ

 もどり道」以来、35年ぶり。当時の陽水は芸名を「アンドレ・カンドレ」から「井上陽水」に変えて2年目。同年3月発売の「夢の中へ」の大ヒットで、一躍トップシンガーとなり、同年末に発売したアルバム「氷の世界」は、日本初のミリオンセラーとなった。年間180本に及ぶ弾き語りライブを中心に、カリスマ的人気を手にする最中に発売した「もどり道」も、ライブLPレコードとしてはオリコン史上最多の約80万枚を売り上げた。

 伝説の1枚以来の「弾き語りパッション」は当初、4月に始まった全国ツアーの会場で、ファンサービスの一環として限定販売されていた。「コンサートに足を運んでくれた人に何かプレゼントをしたい」という陽水の希望で実現したが、各会場とも開場と同時に売り切れる人気ぶりだった。「何とか手に入れたい」「全国発売しないのか」と、ファンからの問い合わせや苦情がレコードメーカーなどに寄せられ、急きょ全国発売が決定した。

 収録16曲は、昨年のツアーのベストテイクを収録した。ほとんどが70年代のラインアップで「闇夜の国から」「夏まつり」「傘がない」など、フォーク、ニューミュージック全盛時代を彩った作品が収められた。

 陽水は今年8月30日に還暦を迎え、来年にはデビュー40周年という節目を迎える。