甲斐よしひろ(55)率いる甲斐バンドが81年9月13日に大阪・花園ラグビー場で行った、暴動寸前のパニックが発生したライブを含む、貴重な映像を集めた2枚組DVDが9月26日、発売される。10月には同バンドにとって22年ぶりとなる20公演以上の大規模な全国ツアーをスタート。伝説をよみがえらせながら、再び熱狂的ファンの前に立つ。

 甲斐バンドの貴重な映像を集めた2枚組DVD「DIRTY

 WORK」は、ファンを「そりゃないぜ」と悔しがらせたライブ集になっている。中でも花園ラグビー場のライブは、多くのファンに語り継がれる。

 当時甲斐バンドは79年の「HERO」の大ヒットを受けて人気絶頂だった。ラグビーの聖地で行われた初の音楽イベントに2万2000人が来場。開演前からの異様な熱気は1曲目の「破れたハートを売り物に」でピークに。座布団が飛ぶ中、ファンがステージ前方に押し寄せ、暴動寸前となった。

 ライブを中断し場内は「そりゃないやんけ」となったが、甲斐は「下がってくれ」と時間をかけてファンを説得。急きょ演奏曲順を変更して、ラブソング「安奈」を歌い、落ち着きを取り戻させた。同ライブの映像で残っていたのは「破れた-」など3曲だけ。それもほとんど未発表で、今回初披露される場面が多い。

 ほかにも、86年の解散公演後に、急きょ1000人限定で行われた黒沢明フィルム・スタジオでのライブが初映像化。昨年12月に東京・品川のステラボールで行われた復活ライブが収録される。

 同ライブも「そりゃないぜ」とファンを悔しがらせた。一夜限定の復活にかかわらず、会場の定員は1000人弱。チケットは10分で完売し、ネットオークションで数十万円の高値をつけた。そこで、映像化するだけでなく、86年の解散ツアー以来となる20公演以上の全国ツアー「甲斐バンドBEATNIK

 TOUR

 08-09

 THE

 ONE

 NIGHT

 STAND」が決定。甲斐は「『ワンナイト・スタンド』とは、その街々ですべてを燃焼し尽くす美しくも切ない夜のことだ。素晴らしいショーを期待していてほしい」と話す。一夜だけだったはずの復活が、全国へ飛び火。甲斐バンドの「そりゃないぜ」は、いい意味での裏切りが多い。