2日に肺炎のため72歳で亡くなった漫画家赤塚不二夫(あかつか・ふじお)さん(本名・赤塚藤雄)の葬儀・告別式が7日、東京都中野区の宝仙寺で営まれた。赤塚さんとの出会いで芸能界に入るきっかけをつかんだタモリ(62)は弔辞で「私もあなたの作品の1つです」と呼び掛けた。漫画家、出版関係者ら650人、ファン550人が参列した。法名は「不二院釋漫雄(ふにいんしゃくまんゆう)」。

 「これでいいのだ~」と「天才バカボン」のテーマ曲が流れる中、出棺した。

 赤塚さんそのものの言葉だ。タモリは弔辞で「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し受け入れること。その考えをあなたは見事に一言で言い表しました。まさに『これでいいのだ』です」と読んだ。すべてを受け入れた結果、人にだまされ金銭的打撃を受けたこともあったが、相手を恨む言葉は一切聞いたことはなかったという。

 タモリは、新宿・歌舞伎町でライブをしていた時に赤塚さんと出会い、芸能界に入った。毎夜すし店で、お笑いや映画、絵画談議をし影響を受け続けてきた。「10代の終わりから青春は赤塚不二夫一色でした。私もあなたの数多くの作品の1つです」と言った。

 肉親以上の関係だったため「お礼を言うときに漂う他人行儀な雰囲気がたまらなかった」と、これまで感謝の気持ちを伝えたことはなかった。弔辞でお礼を言うことになったタモリは、それまで淡々としていたが、声を詰まらせ「お世話になりました。ありがとうございました」。

 葬儀委員長の藤子不二雄(A)氏は「もう悲しむことはありません。好きなように突っ走ってあっちに行ったんです」と見送った。「漫画はもういいと言っているはず」と言う人もいれば「天国でも漫画を描く」と言う人もいた。共通しているのは、優しくてシャイで、にぎやかなことが大好きな赤塚さんだ。

 喪主を務めた長女赤塚りえ子さんは「たくさんの方々に愛され見送られ、父は幸せだと思います。一生懸命頑張って父の作品を守ってまいります」と、泣きながら気丈にあいさつした。

 ほかに北見けんいち氏、ちばてつや氏、楳図かずお氏ら漫画家、研ナオコ、小松政夫、松尾貴史、林家ペー、山本晋也監督らが参列した。