松本幸四郎(66)市川染五郎(35)が主演し東京・国立劇場で上演中の江戸川乱歩原作の歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」が好評で、来年10月に同劇場で乱歩歌舞伎第2弾が上演されることが18日、分かった。

 乱歩作品の歌舞伎化は初めてだが、人間豹(ひょう)恩田役の染五郎が宙乗りをみせるラストで拍手がやまず、乱歩の孫も観劇。土日は満員札止めになるなど大入りが続き、早くも乱歩歌舞伎第2弾の上演が決まった。明智小五郎役で演出も兼ねる幸四郎は「『勧進帳』1000回を達成した翌日からけいこに入り、連日朝から深夜までやったけれど、その疲れも吹き飛んだ。乱歩さんも喜んでいると思うと胸がいっぱいで、夢のようです」。

 10年前から企画を温め、恩田と色男神谷の2役の染五郎も「言い出したのは僕だけにうれしい。2度、3度と見てくださる方もいて客席の熱気を感じます」。幸四郎が新作歌舞伎上演のために立ち上げた「梨苑座」が来年で10周年を迎え、その記念公演ともなる。上演作品について、幸四郎が「小五郎と怪人二十面相の対決が見たいという方や続編をという方もいる」と言えば、染五郎は「恩田は最後に『また会おう』と言っているだけに、続編をやりたい」と熱望。乱歩歌舞伎のシリーズ化もありそうだ。