俳優堺雅人(35)が映画「南極料理人」(沖田修一監督、来年8月公開)に主演することが24日、分かった。実際の越冬隊員による「面白南極料理人」が原作で、昭和基地から約1000キロ離れた内陸基地での生活がコミカルに描かれている。来年1月から北海道・網走などで撮影を行う。

 堺が演じるのは昭和基地から1000キロ離れたドームふじ基地で越冬し、8人の隊員の胃袋を支える隊員だ。原作は96~98年にかけて南極に行った第38次越冬隊員の西村淳さんの著書で、製作陣が「極限の地での男たちの笑いと食文化の奥に、遠く離れた家族を思う、長期出張サラリーマンの悲哀を感じた」と、映画化を決めた。

 南極という娯楽がない場所で、長期間の生活を支える楽しみの1つは食事。映画でもカニやフォアグラ、伊勢エビフライなどが登場。フレンチのフルコースが出てくる場面もあり、環境と食事のギャップもおもしろい。

 もちろん豪華料理ばかりではないので、堺は、家庭料理からコース料理まで特訓中だ。私生活では故郷宮崎の郷土料理「冷や汁」も作るというが、難しい刺し身包丁の使い方や中華鍋の扱い方も学んでいる。「メニューはおいしそうなものばかり。皆さんに皮下脂肪を蓄えてもらえるように頑張りたい。今回、僕も太るだろうな」と話した。

 これまで南極を題材した映画は、冒険物語やSFなどが多かったが、同作は心温まるコメディー作品という点でも異色だ。標高3800メートル、年平均気温が氷点下58度という厳しい環境に加え、笑いを忘れず、家族を思い奮闘する隊員が描かれる。

 [2008年12月25日6時46分

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