京都市で20年近く芸能界スカウト詐欺をしていた男が、今度は「ゆうこりん」とのCM共演を誘い文句に高校生から現金をだまし取り、京都府警東山署に6日、詐欺容疑で逮捕された。男は住所不定、無職辰巳支之(たつみ・ささゆき)容疑者(68)で、自分の連絡先も告げず、相手の携帯電話の番号も聞かず、言葉巧みに男子生徒から3万円をだまし取ったという。

 

 辰巳容疑者は昨年7月27日午後6時ごろ、京都市東山区の京阪電鉄祇園四条駅の改札付近で、1人で帰宅途中の高校2年の男子生徒(17)に目を付け、声を掛けた。

 「ワシは『暴れん坊将軍』の脚本を書いてんねん」と実在したテレビ局の元プロデユーサーの名前をかたり「そうそう、今度な、小倉優子のチョコレートのCMを撮るんやけど、出てみいひんか?

 3日で50万円のギャラや」とたたみかけて、ありもしないCMを男子生徒に信じ込ませた。

 別れ際に、CM出演するには「化粧と衣装で3万円を前払いなんや。明日朝10時にここに来てんか?」と持ちかけ、翌28日、話を信じた男子生徒と同改札で落ち合って3万円をだまし取った疑い。この2日間で辰巳容疑者はCM撮影の話題でごまかして、自分の連絡先を伝えず、また、男子生徒の住所や携帯電話の番号やメールアドレスさえ聞こうともしなかったという。

 男子生徒は、CM撮影への期待感から辰巳容疑者との連絡手段がなかったことにしばらく気付かなかったが、何も反応がなかったことから不審に思い、8月20日に東山署に被害届を提出した。

 詐欺の手口から、92年、00年、02年と京都市内で映画監督やテレビ局プロデューサーを名乗り「ワシが松平健の育ての親じゃ」などと吹聴するなどして詐欺罪で逮捕されていた辰巳容疑者が浮上した。

 辰巳容疑者は「これがワシの手口じゃ」と開き直って容疑を認めており「ほかにも声を掛けた」と供述しているという。取調室では威勢よく話しているが、逮捕時、所持金はなく、スーパーのポリ袋に入った下着しか持っていなかった。

 [2009年1月7日9時4分

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