11日に下咽頭(いんとう)がんで亡くなった作曲家三木たかしさん(享年64)の告別式が20日、東京都港区の増上寺で行われた。友人代表として作詞家荒木とよひさ氏(65)とタレント萩本欽一(68)が弔辞を読んだ。

 三木さんが残した約2000曲のうち、荒木氏は400曲以上をともに紡ぎ出した“戦友”。何度もおえつをもらしながら「できるなら、たかしちゃんの隣に付き添って一緒に行ってあげたい」と絶叫した。そして、きまじめで一本気な三木さんがついた「たった1つのうそ」をなじった。「僕は長生きだから、90歳まで生きて、とよさんの弔辞を読んであげるって言ったのに…。どうして先に逝ってしまったんですか!」。涙で言葉を失う荒木氏に、会場では多くの参列者がもらい泣きで目頭を押さえた。

 この2人の固い友情に「かなわない」と話したのが欽ちゃんだ。「友人代表と言ってもらってうれしいけど、三木さんと荒木さんは『バカヤロー』『コノヤロー』って言いながら、とても仲良し。かなわないよ」と振り返った。三木さんに贈った最後の言葉は「自分たちは友だちじゃない」だった。「三木さんは僕のことをずっと友だちだと言ってくれた。でも違う。ハッキリ言います。先生です。『先生』とか『ありがとう』と言うとすごく怒ったけど、今やっと言えるよ。三木先生、ありがとうございました」。

 前日19日の通夜に参列した1200人とこの日の700人。合わせて2000人近い弔問客が、昭和の歌謡史を彩った偉人と最後の別れを惜しんだ。

 [2009年5月21日9時58分

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